ねぶそく裏表紙

遊んだゲームの感想を残してます

ESC by Radical Dreamland

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ESC by Radical Dreamland

イチゴ狩りが限界を迎えた。

攻略法探しついでにいろいろな情報を漁っていると、Celesteの音楽を担当したlera raineさんはゲーム製作者でもあるということで、なんとなしに手に取った作品です。ジャンルはインタラクティブフィクション。雰囲気が大きく異なる2つのパートを交互に読み進めていきます。

VerdaMUCK

あるネットワーク上に存在するロールプレイング専用のチャットルーム『VerdaMUCK』。この部屋で女性冒険家を演じるRaineの視点を通じて、他のロールプレイ仲間たちと繰り広げる冒険を追いかける。

DOS窓のような真っ黒な背景に白文字が表示される、いわゆるテキストアドベンチャーを模した画面構成ですが、プレイヤーはコマンドを入力する必要はなく、適当なボタンを押下して文字を送ります。選択肢もありません。

〇〇 is typing…の長短でつけられる緩急や、この作品の大きな魅力でもある臨場感を高める音楽。地の文に凝る人、OoCタグを頻繁に使う人(Out of Character。キャラクターに則さない発言に添えるそうです)といったテキストアドベンチャー由来の個性に溢れるキャラクターたち。コマンド入力とは別の表現で、私を冒険者に仕立てあげてくれました。

ノベル系のプレイ経験は乏しい私にとって、今まで見たことがないような動的な読みものです。スゴイスゴイと興奮する私を尻目に、GMも意図しない異変が起き始める。

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Navigator's Log

Navigatorと名乗る人物から送られるメッセージを読み進めるパート。VerdaMUCKの冒険で大きな動きがあるとこのメッセージが幕間として差し込まれます。

読者に対する問いかけ半分、Navigatorの日記半分といった内容から見えてくるのはスマートフォン以後の近未来。文章の端々に「Cerebral Network」「mindat」といった見慣れない言葉が散りばめられて、私たちがまだ出会っていない概念と技術が普及した日常模様が描かれる。

VerdaMUCKの冒険とは打って変わって演出といった演出もなく、淡々と表示される文字を追いかけることになります。が、想像をかき立てるどこか俗っぽい近未来像や、だんだんとサスペンス調をおびていく日記によって、ファンタジー世界における冒険とはまた違った力で惹きつけられました。幕間どころか、続きが気になったのはこちらかもしれません。

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作中劇なのかも判別が付かないまま読み進めていくと、思わぬ形の相互作用が起こり始めます。一方の住人がもう一方の世界に入り込んで、混ざり合って、初見では気にも留めなかった出来事に新たな解釈を植え付ける。息つく暇もなくどんどん突き進む展開に付いて行くと、気づけばエンドロールを眺めていました。

インタラクティブフィクション、ノベルといったジャンルにはあまり触れていないせいでしょうか、ちょっと未体験な衝撃でガツンとやられました。こんな面白いものを知らずにいたのか!新たなジャンルへの興味を抱かせてくれた点も含めて、上半期ベスト候補!