ねぶそく裏表紙

楽しんだものを書いています

Dujanah

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Steam:Dujanah

主人公であるDujanahが追い求める目的ははっきりとしています。失踪した夫と娘を探し出すこと。しかし、彼女がひとつの結末に至るまで、何とも形容し難い旅路を辿ることになります。

軍事介入を受けた架空の中東諸国を舞台にしたアドベンチャーゲームです。"Clay-punk adventure"と銘打たれた本作は、クレイアニメーションを骨子としながら、フルモーションビデオや手描きといった描写で、表情豊かな音楽が添えられて、大胆な転調と共にストーリーが展開します。本作の開発者、Jack-Spooner Kingさんの従来作品(『Beeswing』『Sluggish Morse』など)で駆使された表現技法の集大成といった趣でした。

バイク、時々石油採掘用巨大ロボットを乗りこなし、いくつもの砂漠を超える旅の行く先々で出会うのは人、蜘蛛人間、機械生命体。個々のバックストーリーを抱えた彼らが語るのは、Dujanahとの会話が半分、何かひとつ上の層から言葉を投げかけられているような、婉曲的なメッセージが半分といった具合です。

これはDujanahの家族探しの旅に対する肉付けというよりも、開発者の体験や死生観が、ほとんどありのままの姿でゲーム内に宿っている印象を受けました。なので、まとまりと言いますか、綺麗な肌触りではないんですね。『Dujanah』というひとつの作品に触れているはずなのに、まったく別のものの感触が何度も伝わってきます。

ただ、そのような独立したものが散りばめられているものの、不思議と乱雑さは感じません。おそらくJack Spooner-Kingさんというひとりの人間の、非常にパーソナルな思想から湧き出たものとして受け止められたからでしょうか。そういった意味でもこの作品は非常に人間臭いです。

とまあ、私の想像は置いたとしても何より重要なのは、この作品は途方もなく遊び心に溢れているということです。Dujanahが歩む物語は救いのかけらもなく、これは彼女が出会う人々にとっても、戦争という理不尽に晒された世界に住むが故に抱える共通の病。作品に通底するのはもの悲しさです。しかし、種々の表現と語りによって、遊んでいて湧き上がるのは純粋に楽しいという感情でした。

奇妙なものを覗いて、それに激しく胸を打たれたいという衝動に駆られている方、おススメです!